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パッシブデザインとは?

003:ソーラーハウスからパッシブシステムへ

パッシブデザインの話をするときに必ずと言っていいほど出てくる、「アクティブソーラー」「パッシブソーラー」または「ソーラーハウス」、その関係をお知らせしておこうと思います。

「ソーラーハウス」ってどこかでお聞きになったことありますでしょう?

この言葉は、結構古くからつかわれています。
「パッシブデザイン001」にも書きましたが、1920年頃に新聞社によって造られた言葉だと聞いています。太陽熱を給湯や暖房に活用しようとする研究がなされ、それを取り入れた住宅のことを言っている言葉らしいのです。今から約80年も前の話です。
そういえば、小さな子どもの頃(私の場合80年も前ではありませんが)夏には行水というのが日課でした。それも朝から日向に出して行水をする昼下がりまでには、たらいに張った水の温度はちょうど良い具合に上がっていました。これも太陽熱を使った給湯に値するのかも知れません。ちょっと道草でした。
そんな原始的な方法は日常使われていたのでしょうが、もっと効率よく能率的に利用したくなるのは当然ですね。
たぶんこんな風に、住宅設備の熱源として太陽熱の利用を求めたのがソーラーハウスの出発点だったようです。

その後1970年代の第一エネルギー危機の時にソーラーハウスは注目されるようになりました。私もちょうど′73-4年頃「ソーラーハウス」という本を読んだ覚えがあります。
その関心は主にエネルギー源として太陽を使うことだったようです。
住宅設備の依存していたエネルギー資源に代替する物として太陽のエネルギーを使おうとしたのです。例えば、太陽エネルギーをそのままでなくエネルギー交換技術を駆使して、冷暖房に使うエネルギーつまり電気にして活用したり、太陽熱で温めた空気をファンで各所に運び込むなどです。こういうアプローチのソーラーハウスをアクティブソーラーハウスと呼びます。

これに対してパッシブソーラーという考え方が、70年代後半に出てきます。
太陽熱によるパッシブヒーティング(「パッシブデザイン001」参照)を取り入れたシステムです。
アクティブ「能動の・能動的」に対しパッシブ「受動の・受動的」という言葉で対照的に表される、機械設備の使用を前提としないその概念は社会背景の移り変わりとともに次第に受け入れられ来ているようです。

住宅も設備器機でその環境をコントロールしようとし、そのエネルギー源として太陽を使おうというアクティブソーラーハウスは、化石燃料(石油・石炭など。ウランも含まれる。)に頼ることから脱しようという点では良い方向であるといえると思います。
それは、化石燃料は掘りだした分だけ使えるけれど必ず枯渇しますし、使えば空気を汚しゴミを出します。が、太陽を含む自然エネルギーは一度に使える量は限られるけれどその恵みは無限といって良いようですし、環境に負荷を強いる事もないからです。
しかし、そのシステムを使ってもコスト的な問題がいつも残ってしまうようです。エネルギー変換効率が必要とされるほどには上がらなかったからでしょう。

そんな事柄も手伝って、建物自体に室内環境へ作用する機能を持たせたパッシブソーラーの考え方が次第に人の心をとらえてきていると思うのです。

アクティブソーラーとパッシブソーラーをはっきり分けて考えるなら、エネルギーを使い続けて成立する人工的な住環境と、自然環境に適応しながらその潜在的なエネルギーを駆使してそのリズムとともに生活できる住環境が、同じように自然エネルギーの恩恵を受けようとしながらも全く違った質の物であるということが確実に意識されて、現在その選択がなされるようになっていると思うのです。
さらにパッシブソーラーの概念が建物へ反映され実現されてきたのも、気密・断熱の技術的な確立が一役かっていると言えるでしょう。自然からいただいたエネルギーを有効に大切に使うのには、それなりに建物の性能を確保しなければならないからです。

そして、太陽熱の暖房効果への利用から始まったパッシブソーラーは、太陽熱利用とは関係ない夏場の冷却効果や遮熱効果を得るための建築的工夫(パッシブクーリング)、風も含めての気候特性・地域特性・その敷地を読んで建物へ反映させるバイオクリマティックな手法までをも内包して、パッシブシステムとしていま存在しています。

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