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このような流れで進みます

福岡市KW邸

「ただ今進行中!」も第3段になりました。
今回は福岡市KW邸、電磁波過敏症の奥さまのいらっしゃるお宅です。

基本設計 2006.05~

ゆったりした敷地とはっきりした要望、あまり苦労せずにまとまりました。
ファーストプランを基本に若干の調整をして、実施設計に移ります。

敷地:とても広いです。

奥ではSS(スエーデン式サウンディング試験)で地盤調査をしています。

実施設計 2006.07~

住まい手の体調を考え生活の質を下げることなく暮らしていただくために、様々な工夫を盛り込みました。又各建材について実際に触っていただき、身体への影響がないかどうか確認をしていただきました。

見積依頼 2006.10

3社の工務店にご協力いただきました。ありがとうございました。

業者決定 2006.11

3社中2社は価格が拮抗していたのですがお施主さんと社長さんとの相性も併せて、選考しました。

工事請負契約締結 2006.12

ここで設計監理業務としては半分まできたという感じです。
しかしこれからやっと建物が表れてくるのです。
その前に1/100モデルを作って見ていただきました。

埋設文化財調査 2006.12.07

この敷地が埋蔵文化財包蔵地にあたるということで、教育委員会に届け出るように指導されました。そうすると試掘をしますとの連絡があり、出来るだけ早い日程で予定を組んでいただきました。雨降りの当日、敷地の真ん中あたりを1.5m程掘削しました。千数百年前の地層だそうです。土器のかけらも出てこなかったので、やっと着工できると、胸をなで下ろしました。

地鎮祭 2006.12.12

小竹で結界を張った途端に、空気が変わるというのでしょうかなんだか神聖な感じになります。地霊をおさめ敷地を清め、建て主とご家族の健康と繁栄を願い、工事が滞りなく安全に終わるよう祈願する儀式です。その通りのことを祈り玉串を捧げました。祈り願うことを通してその事を自分の中に取り込みます。そしてその意識は全てに反映していくのではないでしょうか。

くい打ち 2006.12.15、16

地盤調査の結果、地耐力に不足があり何らかの地盤補強が必要となりました。
表層改良・柱状改良・ジオクロス工法・鋼管杭・パイル杭・松杭…
硬化剤による土壌汚染の恐れ、新しい工法への不審、金属を地中にさす事への不安(磁場の変化)等々消去法で松杭を打つことになりました。

松杭 直系180mm 長さ2.5m 74本/建築面積107m2
木酢液につけ込んで防腐加工してあります。

アースオーガ機で先行ガイド穴を穿ち、杭をたて込んでいきます。 高周波振動をかけながら押し込んでいきます。音も振動も全く感じませんでした。

近頃では珍しい松杭ですが、近代建築物ができはじめた頃にも使われていた歴史のあるものです。得に含水の多い地盤では半永久的に有効です。1920に起工された旧丸ビルにも使われており、新丸の内ビルディングへの建て替えの折り、その松杭は引き抜かれ堆肥やパーティクルボード、製紙用チップとして100%再利用されました。
杭としての役目を終えたあともしっかり利用される素敵な素材です。これからの再生可能な社会へ向かうには理想的ではないでしょうか。
色々な条件・要望で八方ふさがりの時に探し当てたものですが、思いがけずいい出会いをいただいて感謝しています。
松杭施工:九州パイリング

井戸ボーリング 2006.12.20

このお宅ではもしもの災害時にも生活が続けられるようにしたいとのご要望があり、水については井戸を掘ることになりました。優秀な浄水活水器を入れれば、上水道を引く必要もないと言う案も持ち上がっていました。しかし幸か不幸か井戸からの水量が十分でなくその案は没となり、井戸水はお風呂関係にのみ使うこととなりました。

地業 2007.01.13

基礎工事より先にその下の土を扱う仕事を地業と言います。

ここでは、ベタ基礎底盤の地盤を突き固めた後「バイオスAS基礎シート」という、地盤から白蟻と湿気の侵入を絶つシートを敷き込みます。その上に砕石を地中梁の形をとって締め固めます。
バイオスAS基礎シート:日建ウッドシステムズ(株)

配筋検査 2007.01.23

基礎はベタ基礎です。(→ベタ基礎)

外周の型枠をたてて底盤・立ち上がり部とも鉄筋を組んだ時点で、配筋検査を行います。
鉄筋の種類・太さ・配置・間隔、繋ぎ手長さ、コンクリートかぶり厚さ、先行配管などをチェックします。
型枠の内側にある黒い板は、基礎外断熱のための断熱材です。基礎外断熱の場合には断熱材のコンクリート側に白蟻が入り込むリスクがありますが、この断熱材はガラス発泡板で白蟻が噛むことが出来ませんし、地盤との間には「バイオスAS基礎シート」が敷いてありますので全く心配いりません。薬剤を使わない方法として一番よい組み合わせではないかと思っています。

土間コンクリート打ち 2007.01.30
立ち上がり部コンクリート打ち 2007.02.06
土台敷き 2007.02.16
上棟 2007.02.18

前日からの雨も上がり、早朝から掛矢(かけや:大きな槌)の音が響きます。 棟上げまで来れば一安心。まずは形が出来てしまいますからね。まぁ細かいことがこれからたくさんでてくるのですが。。。
現場に着いたのは8:30でしたが既に1階の柱はおおかた立っていて、そろそろ梁をあげようというところでした。
昨日の雨で地面が濡れているので、泥の付いた靴で土台を踏んでしまうことになります。それがいやで近くのお店でバスタオルを買ってきて建物への入り口に敷いてもらいました。職人さんにはよくあることでも、お施主さんにとってはひとつだけの大切な新しいお宅です。そういう汚れって気になるのではないかなぁ、と思うから。。。
曇天ではありますが、寒くもなく日焼けする心配もなく、なかなかのお日和ですよ。

作業にかかるまえに建物の四隅に、米・塩を盛って御神酒をあげて安全を祈ってありました。

朝8時半の状況

棟飾りの準備。扇の下にはするめと昆布が麻紐で結わえられます。

午後4時頃には棟が上がり、棟飾り・五色布もあがりました。
これらの飾りかたは色々流儀があるようで、大工さん・工務店によって少しずつ違うみたいです。

俄づくりの祭壇に酒・塩・米・鯛・野菜・果物・餅を供えて、棟祭りです。
紅白のお餅は奥様の手作り。黒米で色を付けてありました。

お施主さんと本日の功労者の皆さんで記念写真!おめでとうございました。

屋根断熱材 2007.02.20

棟上げからお天気が続き、屋根仕舞いが順調に進みます。このお宅では麻の繊維でできた断熱材を使います。電磁波過敏症の奥様に負荷の最も少ないものを選びました。ご自身に触っていただいて決定したのですけれど、麻は電磁波カットに有効だという説もある事をあとで気が付いて、人体はとても鋭いセンサーなんだということに改めて感心してしまいました。
登り梁の上に厚さ42mmの天井板兼野地板を張って、その上に母屋(写真で見えている水平材)を置きその間に厚さ150(50×3)mmの断熱層、その上はタイベック(防風透湿シート)でカバーし、タルキを流します。そこが通気層となります。その上に普通の野地板(杉板厚さ12mm)を張ってゴムアスファルトルーフィングと屋根仕上げになります。

野地板をおおよそ張り終わったところ。棟の隙間は通気層からの空気を棟換気部材から逃がすためにあけておきます。

普通のやり方と比較すれば二重屋根と言っていいほどのハイスペックですが、夏の激しい輻射熱をカットするためには必要だと思っています。見えなくなってしまうところですが、ココに予算を少しだけ余計にかけることで、毎日の快適さと大きな省エネルギー効果が入居されてからづーーーっと保証されるのです。

煙突たて込み 2007.02.21

このお宅には薪ストーブがあります。その煙突の屋根貫通部分を屋根仕舞いの時に工事しておきます。

屋根下地 2007.03.07

野地板の上にゴムアスファルトルーフィングを敷いて、瓦を取り付けるための桟を打ってあります。煙突まわりには前回の写真にあるものに加えて、軒先までのステンレス板金と、その両端には雨水が回り込まないように谷樋も加工してもらっています。ゴムアスファルトルーフィングの下で見えませんが・・

屋根瓦惹き 2007.03.13-16

屋根仕上げは、窯変平瓦(石州)です。

葺き上がりました。

瓦でも軒から換気します。「瓦テッペン」と言う部材。
土台水切りの下から入った空気は、壁の通気層から屋根の通気層を通ってこのストロー断面から排気されます。
瓦テッペン:ジェイベック株式会社
窯変平瓦エラン:石州瓦工業組合

中間検査 2007.03.14
気密検査 2007.03.18

どのお宅も気密ライン施工と設備スリーブ抜き及び気密補修をしたところで、気密検査を行います。

締めきった状態の建物からこの機械で空気を外へ排出します。建物内は負圧になるので隙間があればそこから外気が侵入してきます。それを測定して計算して気密度合いを表す隙間相当面積と隙間の大きさや散らばり方を表す特性値が示されます。
空設計工房の仕様書では、隙間相当面積C値≦1.5cm2/m2、特性値N値≦1.7を達成していただくよう目標値として定めています。
こちらのお宅は、C値:0.30、N値:1.36 と優秀な結果が出ました。

今回気密ラインは、耐力壁量倍率2.7の「モイス」と軸(柱・梁)の間にブチルテープを挟む事によって軸の外側で取っています。この単純な方法がC値・N値をグッとよくしたのではないかと思っています。
モイスmoiss:三菱商事建材株式会社

壁断熱材 2007.03.19-29

壁断熱は4寸柱の厚みに充填します。

麻の断熱材ASA WOOL 厚さ50mmを二層

その上から杉の皮からできた木質繊維板 フォレストボード厚さ20mm併せて120mmの厚さになります。断熱効果はその厚みに比例しますが、壁の厚みいっぱいに充填する理由がもう一つあります。それは空気だけの層があるとそこで対流が起こり熱を伝えてしまいますし、ともすれば結露が起こることも考えられます。壁の中の結露はなんとしても起こしてはなりません。それは家を長持ちさせるのにまた住まう人に健康被害を与えないひとつの要です。
ASA WOOL:(株)TALOインターナショナル
フォレストボード:(有)木創

内部下地 2007.04.10-17

二階 床下地の転ばし根太が見えています。

梁の上にJパネルを張って床剛性を出しています。その上に畳を置く部屋があります。その高さにフローリング床の高さを合わせるのに転ばし根太で調整します。
まだ内壁は軸組のままで、向こうの橋まで見通せます。
Jパネルは間伐材を利用した幅はぎ板を三層にした、耐力壁にも利用できるパネルです。
国産の杉・檜を使うことで山を活かしていかなければ、こんなに山のある日本なのに輸入材にたよらなくてはならなくなってしまいます。できる限り国産材にこだわります。
Jパネル:協同組合レングス

断熱材がはいった壁の内側に下地ボードが張られました。

外壁下地 2007.04.17

モイスの上にエアー・パッセージシートが張られました。
エアー・パッセージシートは比較的新しい建材です、「通気層が付いた防水紙」といった物です。この上にラス網を張ってモルタルを直接塗ることができます。
ポリプロピレンとスパンボンド不織布で作られています。デュポンジャパンの製品ですが、その開発中に数回意見を求められ感想や意見を差し上げたことがあります。
エアー・パッセージシート:株式会社山中製作所
デュポン株式会社

土台水切り、銅製です。
電磁波過敏症の奥様は面を作る金属に不快を感じられます。金属の種類によってもその反応は違うそうで、なかでも比較的楽なのは銅ということです。そこで高価ですが建物にも優れた素材である銅を利用することになりました。
下に見えるのは基礎に打ち込んだガラス発泡板コリグラスです。
コリグラス:ゲーテハウス

もじゃもじゃシート 2007.04.27

エアー・パッセージシートの上に張るラス網の代わりに使いました。
鉄でできたラス網に建物がくるまれてしまうことに電磁波過敏症の奥様は嫌悪感を抱かれました。
ふつうの電磁波対策としてはラス網で電磁波を引っ掛け電流にしてアースに流してしまう(とても感覚的で大ざっぱな表現です済みません)のですが、その電流を感じて気持ちが悪くなるそうなのです。
銅ラスも検討しましたが、金額と電触による耐久性が問題でボツ。金属でなくラス網と同じ働きをするものということで、前例がないのですがこのもじゃもじゃシート利用に踏み切りました。もじゃもじゃシートはこちらで勝手に使っている呼び名です。正式にはタングレットという名で、ポリプロピレン製です。おもに土木工事の法面緑化のときに土が流れないようにはる資材です。
タングレット:ダイワボウプログレス株式会社

屋根の上には 2007.04.28

真空式太陽熱温水器サンファミリー 未だ養生されて全容は見えませんが・・
平板式に比べると導入価格は倍ちかくになりますが、性能も非常に高いです。夏場は90°近くまで、冬場の曇天でも管内の水は暖められます。ガスの使用量は驚くほど少なくなりますよ。
サンファミリー:日本電気硝子株式会社

屋根散水用の配管 夏の暑い日には井戸水を屋根に撒いて輻射熱を防ごうという試み
散水用のノズル

モルタル塗り 2007.05.08

下塗りが終わって乾いたあとに、中塗りをしているところ。このあと仕上げまで十分に乾燥させます。 どの職方の仕事ぶりも素晴らしいものがありますが、とりわけ左官さんの技術には何時も見とれてしまいます。

内装仕上げ 2007/06/08

1階と2階のプライベートエリアの壁・天井は珪藻土で仕上げました。 珪藻土はいつもサメジマコーポレーションのリターナブルパウダーを使います。数ある珪藻土を名乗っている物のなかでケミカルやセメントの接着剤を使っていない物だからです。この素材は奥さまにも大変気に入っていただきました。
リターナブルパウダー:サメジマコーポレーション

2階のゲストエリアの壁は紙クロス、ルナファーザーを貼りました。天井は化粧野地板(杉)表しですが、壁とのコントラストを和らげるためにブレーマーのワニス(白)を塗りました。
ルナファーザーは木チップを漉きこんだ再生紙ですが、本来ペンキ下地の壁紙です。何度も塗り直すことができるドイツの物です。ドイツのアパートメントやホテルの部屋にはよく使ってあります。剥がすことなく上から塗り重ねてリニューアルできるとても環境配慮型の材料だと思います。
ルナファーザー:エコ・オーガニック・ハウス
ブレーマー・ワニス:エコ・オーガニック・ハウス

キッチン 2007/06/08

キッチンや収納も全て製作しました。
杉板の巾剥材トライウッドパネルでキャビネットを組みます。引き出しや面材(扉)もトライウッドパネルです。木材用オイルで仕上げます。天板はタモ集成材、材用オイルとも木蝋ワックスで仕上げます。
シンクは陶器製です。これは、金属の使用はできるだけ避けたいとおっしゃる電磁波過敏症の奥さま用に、探しに探した素敵な逸品です。

出来上がりはこんなふうになりました。

トライウッドパネル:トライウッド
材用オイルと木蝋ワックス:エコ・オーガニック・ハウス
陶器製シンク:WHITEHAUS COLLECTION 取り扱いj-max

屋根散水試験 2007/06/14

足場がなくなる前に、屋根散水用ノズルからの水の出を調整しておきます。

太陽熱温水器サンファミリー、養生がとれました。カバーの網はもしもガラス管が損傷したときの落下防止のためです。
残念ながら、メーカーはもうこの製品を作らないそうです。オール電化等に押されてシェアが圧迫されてしまったからとか。環境のためには頑張って欲しいのですが・・・とても効率のよい優れものだけにとても惜しいです。

足場はずれる 2007/06/25

足場がとれて、おおよその外観が現れました。後はバルコニーを作ります。 いよいよ仕上げの時期なので、職人さんの車がたくさんです。

バルコニー 2007/07/03

バルコニーは全くの外付けです。金物無しで組んでいただきました。できあがってから(床板は張る前に)戸袋と同じ自然塗料リボス・タヤエクステリアで塗装します。
リボス・タヤエクステリア:イケダコーポレーション

引き渡し 2007/07/28

おおよそ工事が終わった段階で空設計工房でチェックをします。手直しが終わってお施主さん立ち会いでまたチェックをします。細かなところの指摘をいただいて、さらに手直しをしてもらいます。
しばらくご不在が続いてこの日の引き渡しとなりました。薪ストーブの取付とカーテンは別途工事なので、まだ後になります。これらは仕事紹介のページでいずれご紹介させていただきます。 引き渡しの翌日ではありますが、お宅の見学会を開催させていただきました。ありがとうございました。


このお宅では、たくさんの試みをさせていただきました。
ダイレクトゲイン、薪ストーブ、太陽熱温水器、雨水利用、屋根散水、壁面緑化などです。詳細は仕事紹介にアップしますのでそのページをご覧ください。
そして電磁波過敏症の奥さまのための様々な方法は、一番いいと思われる方法を、その彼女とともに迷いながら探り当てながらの成果です。そのために現場も幾度か停滞をやむなくされることがありました。
しかしその甲斐あって、「入居してからは夫婦ともよく眠れるようになり、ゆっくりと安心して暮らしています」とおっしゃっていただきました。大変だったことも全て忘れさせてくれる有り難いご褒美です。

筑紫野市T邸
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